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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
「放って置けないなって思った。ひとりにしたら、このひとはもっと淋しくなっちゃうって-」
-だから、側に。
華夜子の囁きに、陸は釘付けになる。
「母性本能がくすぐられたのかな」
強ち冗談とも言えぬ、華夜子のからかいの微笑。
陸は複雑な思いを抱え、呟く。
「…淋しそうだった、俺?」
「うん。違ったらごめんね」
「自分に寄ってくる人間みんなが信じられなかった。上辺だけを見て近付いては、すぐに離れてく。きっぱり拒絶すればいいんだろうけど、それも勇気がなくて出来ず。来る者拒まずで適当に、広く浅く付き合っていた。…華夜にこんな事言うのはほんと恥なんだけど、特に女に関しては。どうせいなくなるなら、適当でいいやって。そんな毎日を過ごしてたから、ふとした瞬間我に返っては溜め息を吐いてた。何やってんだ俺、って。でもだからって、どうしたらこんな日常から抜け出せるのかも分からずに…無限ループ状態?」
陸は自嘲する。
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