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蕩けるようなキスをして
第72章 最愛
「でもそれは今じゃない。あと五年後にねって。御堂さんが大学を無事卒業して、その時にもしもまだ、ふたりの気持ちが変わっていなかったらって」
-その時は今度こそ、僕について来てよ。
高階先生が真摯な眼差しで言ってきた。
本気で言ってくれている事、ちゃんと伝わった。
あの時は本当に。
本当に、嬉しかった-。
『何もかもを気にしなくて済むのなら。ふたりで毎日一緒にいれる手段が結婚だと言うのなら。今すぐにだって迷わずそうしたい。…勿論、御堂さんがそれを許してくれるならだけど』
前置きする先生に、私は繰り返し、頷いた。
『でも、やっぱり。僕はまず、御堂さんにきちんと大学を卒業して欲しい。それを抜きにしては、どんなに淋しくてもそういう事は出来ない』
真面目な先生らしい-思ったけど、限りなく正しかった。
『これからは距離的にも遠く離れてしまうけど、僕はいつも御堂さんの側にいるよ。電話もラインも、今まで以上にするから』
先生が諭すように言ってきて、涙を堪えながら首を振る事しか出来なかった。
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