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蕩けるようなキスをして
第71章 証
床が微かな音を立てる-恐らく、ドライヤーを置いたのだろう。
背面に振り返ろうとし。
それより早く、華夜子の身体は抱き締められた。
華夜子の耳元に向けて、陸は面白くなさそうに告げた。
「怒らねーよ。そんないちいち、嫉妬に狂った男みたいに。…そりゃ、もっと前には確かにちょっと妬いたりもしたけどさ。言ったろ、先生の事を思い出してもらっても構わないって」
「…そう、だけど」
「俺だって華夜のことは大好きだけど、だからって華夜の事ばかり考えて生きてるかって言えば、そうじゃないし。時々昔の事を思い出したり、色々…それはみんなそうだろ」
「…けど。さっきは」
-怒ってた。
華夜子が食い下がると、陸の声が高くなる。
「馬鹿。それはあのタイミングで、華夜が先生の名前を出すから。だから腹が立ったんだよ。俺は悪くない。華夜のせいだ」
陸の、背後から彼女を抱く手に強い力が入る。
その声は-拗ねたような感じも含まれていた。
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