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蕩けるようなキスをして
第13章 送信
自惚れなんか、百も承知で。
「見付けて、俺に逢いに来てくれたの?」
心の中とは裏腹に、余裕の態度で、陸は彼女に笑って見せる。
逢いに来たのか-問われ、華夜子は一瞬、言葉に詰まる。
確かに、彼に会いにここまで来たのは事実。
でも、そう言い切ってしまうと、何か誤解を招きそうな気がして。
躊躇してしまう。
結構な時間を逡巡している内に、彼の中では、
『自分に逢いに来た訳ではない』
そう、認識されたようで、極々薄く微笑まれ、その話題はそのまま立ち消えとなってしまった。
理由は定かではないが、たまたまここに立ち寄っただけだ、と…。
折角和んだ柔らかな空気も、たちまち糸が張り詰めたようになる。
そんな中にいるのがどんなに辛いか、分かってはいるけれど。
陸としても、何を言ったらいいのか、続く楽しい会話を探せない。
いつもはふざけ、頼まれなくとも、冗談のひとつやふたつ、朝飯前なのに。
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