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蕩けるようなキスをして
第69章 求める夜
泣きたいのか、笑いたいのか-自分自身の事なのに、最早分からなかった。
「虫が良過ぎるなんて、ちっとも思わない-」
気分が深く沈んだままの華夜子を、陸が救う。
「良過ぎるどころか、良かった。華夜は正しかった」
穏やかな眼差しで見詰められ、華夜子は惑う。
「りく…?」
「今までずっと、心に引っ掛かっていたんだろ?俺は勿論そんな風には思わないけど…騙しているようで。きっと何度も喉まで出かかっていたけど、でも言えなくて。ずっと、悩んできたんだろ?」
「…ん」
「でも、この間、ようやく先生の事を打ち明ける事が出来て。そのままの勢いで、もう全部を喋ってしまおうとした」
「…うん」
「言えて良かったじゃん。すっきりしただろ?聞いた俺にしたって、華夜の全部を受け止められた。嘘じゃない。心から、そう言ってる。もう、何の問題もなくなった。変わらず…もっと、華夜が好きになった。これで全部が良くなった」
-だから、もういいだろ。
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