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蕩けるようなキスをして
第69章 求める夜
何を思っての笑いなのか-僅かに口元を歪めて、陸は華夜子を見た。
華夜子は自分が何を言えばいいのか、どうするのが一番いいのか、分からなくなる。
正直泣きたい気持ちに襲われるが-それは、出来ない。
泣いたところで-きっと、どうにもならない。
「そりゃ、思うよ。思って当然だろ。俺、華夜の事好きだし。好きな女の事だったら、尚更色々思うに決まってる。…自分の事を棚に上げるなら、ショックだった。もう、滅茶苦茶」
笑い掛けられるが-華夜子は作り笑いでさえ、返せない。
表情が翳る一方の華夜子に、陸は小さな溜め息を吐いた。
「また寒い思いさせてた-」
寒々とした華夜子の肩を抱き、陸は彼女をベッドの中へ促す。
布団を掛けてやり、華夜子に向き合い、その身体をぎゅっと、抱き寄せる。
「ちょっと、冷たくなってる。ごめんね」
冷えてしまった細い身体を包み込むように抱いて、陸は囁いた。
華夜子は無言で頷く。
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