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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
その瞬間。
華夜子が眩暈を覚えたのは、決して低血圧のせいだけではない。
付き合いきれない-うんざりし、華夜子は大きく息を吐(は)き、早歩きを続ける。
「そろそろ戻ったら?」
華夜子の促しに、陸は眉を僅かに寄せた。
「一時間目は、本館での講義じゃないでしょ」
彼女の横顔が意地悪く歪む。
「なんの為に私について、ここまで一緒に来たのか知らないけど。そろそろお友達の所に戻ったら?遅刻するよ?」
諭すように言うと、一瞬固まっていた陸の表情が、みるみる変化してゆく。
「ばれてた?」
照れたように笑い、そして、視線を流される。
色気を漂わせたそれが彼女を捕まえようと、絡み付く。
「ばればれでしょ」
陸のそれを軽くあしらい、華夜子は鼻で嗤った。
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