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蕩けるようなキスをして
第68章 告白と口付け
『本人に直接訊きに行けばいい』
勇気も度胸もなく。
躊躇う私の手を留以は強引に、高階先生の部屋まで引っ張った。
ノックをすれば、ちょうど先生は在室中で、驚きながらも中に入るよう勧めてくれた。
「先生。華夜子が先生に、またお勧めの本を貸して欲しいそうです」
返事も待たずに。
留以はぐいぐい私の背中を押し、言った。
廊下で待ってるから-笑い。
部屋の中に私が完全に入ったのを確認し、留以は研究室のドアを閉めた。
そして、高階先生は言ったのだ。
ふたりきりの沈黙が、そろそろ重くなった頃。
本を探しながら。
何気なさを装いながら。
その横顔は、呟いた。
「来年の三月で、大学を退職する事になっているんだ」
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