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蕩けるようなキスをして
第67章 彼だけ
「まあ、そうだね。華夜子はともかく、櫻葉君は華夜子を大好きなのが、傍(はた)から見てて分かりやすすぎる。側にいるこっちが、勘弁して欲しいって思うくらいの時がたまに…よくある。一緒に行って、これ以上お腹いっぱいになりたくない」
「…ルイさんて、実は結構意地悪だよね」
去年末の出来事から、実は秘かに思っていた事を、陸はここぞとばかりぶつけてみる。
多少の反撃にはなったかな-思ったのに、実際はもっとずっと留以の方が上手だった。
「今頃気付いたの?」
鼻で嗤われ、陸はあっさり負けた。
手強いのが、ふたりに増えた-陸が頭を抱えた時。
「そーいう訳で私達、用事済ませたら、すぐにいなくなってあげるから」
乃愛が、にっこりと笑った。
「用事?」
陸が訊き返せば、テーブルの上に置かれた彼のトートバックを顎で示し、乃愛は言った。
「お土産買って来てくれたって訊いたから。それをいただいてから、帰ろうかと」
「…は?」
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