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蕩けるようなキスをして
第65章 返事
迷う事など、何もない。
この扉を叩きさえすれば、それらが叶う。
この扉を叩きさえすれば、この一方通行の想いに決着をつけられる。
今夜一晩泣き明かせば、きっと少しは楽になれるー多分、だけれども。
先生が扉を開けてくれるまでの数秒間が、もの凄く長い時間に思えた。
驚き。
戸惑う。
そんな先生を見たくなくて。
俯いたままの私の頭上に、やがて、聞き慣れた先生の低音が降り注いだ。
『入って』
その声音は。
想像していたものと全然違った。
温かで。
優しくて。
私を拒絶などしては-決して、いなかった。
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