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蕩けるようなキスをして
第65章 返事
「忘れようとすればする程、忘れられなくなってしまう。意識しないようにすればする程、気になってしまう。…なんなんだろうね、人間の気持ちって。先生からなんのリアクションもなく、鬱々と過ごしていた期間。忘れるどころか、もっともっと好きになってしまっていた。好きだっていう気持ちをなくす事は…無理だった。はっきり拒絶してくれれば。好きじゃない。迷惑だ。胸をずたずたに引き裂いてくれれば。そうすれば、流石に諦められると思うのに。…けど、普通の会話さえ交わせないのに、そんなの不可能で。…もう、どうすればいいのか分からなかった」
未だに切ない想いが身を、焦がす。
「ある日。食堂でお昼を食べた後、自販機で飲み物を買おうと、入り口に向かったの。そしたらちょうど、廊下を横切る先生の姿を発見した-」
-考えるよりも先に、駆け出していた。
食堂に留以を残したまま。
でも。
背後から声を掛ける勇気もなく。
先生の数歩後ろを、自信なさげな足取りでついて行く事しか。
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