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蕩けるようなキスをして
第65章 返事
冬の朝。
窓から差し込む光。
店内に微かに響く、食器の重なり合う、音。
談笑する人達の、笑い声。
隣りには、好きなひとがいて。
休日の、普通の、日常。
ずっと。
もう、ずっと。
こういう事、してなかった。
こういう事、したかった-。
サラダに混じった、極々薄い人参に顔を顰(しか)めつつ。
陸は一瞬華夜子を窺い、何気なさを装い口を開いた。
「…先生、返事くれなかったの?」
根掘り葉掘り聞き過ぎだ-分かっているけど。
今まで散々、昔の男の事なんて知りたくもない-思っていたのに。
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