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蕩けるようなキスをして
第65章 返事
華夜子の熱い視線を感じ、陸は肩を竦める。
「…なに?」
普段こんなにも熱心に見詰められる事など滅多にない為、たじろいてしまう。
「…なんでもない」
恥じ入るようにそっぽを向かれ、陸は増々気になって仕方がなくなる。
「え、なんだよ。そーいう態度とられると余計に気になるだろ。俺、なんかした?」
身体を寄せて問い質せば、華夜子は壁際に追いやられ、逃げ場を失う。
「だから…なんでもないって」
見惚れてた-なんて、言えない。
このひとに出逢えて良かったと、胸を震わせていた-素直に、言えない。
ついでに言うのなら、本当に綺麗な顔をしているな-間近に眺め、改めて感動もしていた。
女の自分が魅入るくらいの整った顔に、今更のように心奪われていたなんて-とてもじゃないけど、言えない。
「…私もピアスホール空けようかな」
「はっ?」
唐突な話題に、陸はすぐについていけない。
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