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第64章 代わりじゃない

華夜子は、ほっと胸を撫で下ろし、隣りで笑う陸に食って掛かる。
「だからっ。こーいう所でしないでって何度…！」
「なんか最近、可愛いなあって思う事が増えてきた気がする」
「え？」
「だから、ついしたくなる」
「そ、そんなの…！」
頬が羞恥に染まる。
「しないでってもしも言うのなら、あんまり可愛くなるなよ」
「…か、可愛くしろって言ったり、可愛くするなって言ったり、一体どっちなのよ」
陸のからかいに、華夜子は大きく翻弄される。
しどろもどろになりながら、どうにか憎まれ口を叩く。
「可愛い方がいいに決まってる」
「…」
「あ、でも。可愛げのない感じも、あれはあれで嫌いじゃない」
陸の付け足しに、華夜子はどっちなんだと言いたくなる。