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蕩けるようなキスをして
第64章 代わりじゃない
陸の疑問に、華夜子は微かに笑う。
「良くはなかったよ。陸と当たり前にしているような事、先生とひとつでも出来たらなって、いつも思ってた。…でも、やっぱり実際問題難しいよ。漫画や小説の中のような、先生との恋愛なんて」
諦めた全ての事が、思い返される。
「誤解のないように言っておくけど、そういう付き合いを先生から強要された事は一度もないよ。悪い事をしている訳じゃないんだから、堂々としたいって言ってくれさえいた。…寧ろ、私の心配をしてくれて。噂なんて尾ひれがついてひとり歩きするから、ある事ない事言われて傷付いてしまわないようにって。…先生、いつも謝っていた。ごめんねって。自分がこんな立場じゃなかったら、普通にふたりでどこへでも行けたのにって。そんなの全然、先生のせいなんかじゃないのに」
思い出の中のひとに、笑いが漏れる。
「先生が私の事を一番に考えてくれていたように、私も先生の事をいつも考えていた。どんなに気を付けてたって。遠い場所だって。部屋の中だとしても。いつどこで、誰の目があるかしれない。目撃された一部分を切り取られて、噂が駆け巡ってしまうかもしれない。人目を気にして、びくびくしながら逢うのも嫌だった。…何より先生、少しは有名人だったし?先生のこれからを思えばやっぱり、電話やメール…大学の中でしか逢う事は叶わなかった」
「良くはなかったよ。陸と当たり前にしているような事、先生とひとつでも出来たらなって、いつも思ってた。…でも、やっぱり実際問題難しいよ。漫画や小説の中のような、先生との恋愛なんて」
諦めた全ての事が、思い返される。
「誤解のないように言っておくけど、そういう付き合いを先生から強要された事は一度もないよ。悪い事をしている訳じゃないんだから、堂々としたいって言ってくれさえいた。…寧ろ、私の心配をしてくれて。噂なんて尾ひれがついてひとり歩きするから、ある事ない事言われて傷付いてしまわないようにって。…先生、いつも謝っていた。ごめんねって。自分がこんな立場じゃなかったら、普通にふたりでどこへでも行けたのにって。そんなの全然、先生のせいなんかじゃないのに」
思い出の中のひとに、笑いが漏れる。
「先生が私の事を一番に考えてくれていたように、私も先生の事をいつも考えていた。どんなに気を付けてたって。遠い場所だって。部屋の中だとしても。いつどこで、誰の目があるかしれない。目撃された一部分を切り取られて、噂が駆け巡ってしまうかもしれない。人目を気にして、びくびくしながら逢うのも嫌だった。…何より先生、少しは有名人だったし?先生のこれからを思えばやっぱり、電話やメール…大学の中でしか逢う事は叶わなかった」

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