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蕩けるようなキスをして
第61章 恋と憧れ
「僕の悪い癖だ。一旦語り出すと、もう止まらない。講義以外の時間で、僕のつまらない話なんか聞きたくないよな。ほんとに申し訳ない」
自嘲して、高階先生は机上に開いていたテキストを閉じた。
そんな事、ないです-喉まで出かかったが、言えなかった。
微かな笑いを張り付け、肯定とも否定ともつかず、無言でいるしか。
思いがけない、先生とのふたりの時間は-楽しかった。
先生が一生懸命語ってくれた話は、熱を帯びる毎にどんどん専門性を増し-正直、後半は殆ど理解出来ていなかったけれど。
でも。
嬉しかった。
いつもは大勢の学生に。
でも、今は。
例え、勉強の延長でも。
例え、理解出来ない程難しい内容でも。
ただの偶然だけど。
それでも良かった。
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