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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
そう-これ以上彼に惑わされないよう、素っ気なく返答し、今度こそ華夜子は立ち去ろうとする。
しかし、陸の長身がその前を塞ぐ。
「…まだ何かあるの」
不機嫌極まりなく、華夜子は彼を見上げた。
ただでさえ、今朝は調子があんまり良くないのに。
いらいらが高まる。
「講義が始まるから、もう行きたいんだけど」
「俺も次の講義は本館」
真正面を指差し、陸は笑った。
本館に行くには、この廊下を渡るしかない。
つまり、この廊下を歩いてる自分は、本館に行くって彼に知らせてるようなもので。
やられた-思ったけど、もう今更だった。
「…さっきお友達と、こっちとは真逆の方向に進んでたよね?」
「あいつらとは、履修してる授業が違うから」
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