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蕩けるようなキスをして
第57章 クリスマス・イヴ
こんな遅くまでなんて、絶対彼女を連れ回したりしない。
寧ろ、早く帰った方がいいと、いつも窘める側だった。
けど。
けど、今夜は-…。
半分諦めながら訊いたのに、華夜子からは以外にもあっさり、色よい返事をもらう。
「折角逢えたのに、すぐに帰ったりしないよ。ここをもう一回歩いて、後は向こう側にも渡って、綺麗なイルミネーション一緒に見よう?」
「マジで?大丈夫?」
「うん。今日出掛けるのは、ちゃんと言ってきてあるし。遅くなるって事も。…まあ、そもそも今夜は、お母さん夜勤で私ひとりだから、何時に帰ろうか関係ないんだけどね」
悪戯な笑みを浮かべる華夜子に、陸は少しだけ安心する。
今夜だけは、もう少し、彼女といたかった。
でも、家の人を心配させてまでする事ではない-そうも思っていたから。
結構真面目な彼は、その辺はきっちりしないと気が済まなかった。
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