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蕩けるようなキスをして
第57章 クリスマス・イヴ
でも、彼女も一緒となると、一応確認しない訳にはいかない。
見れば彼女も、傘は持ってないようだった。
しかし。
陸の提案に、華夜子は微かに笑った。
「これくらいの雪は、傘なんかなくっても平気。その内、止むんじゃない?」
「華夜が大丈夫って言うなら、俺も必要ないからいいけど。…あのさ」
遠慮がちに、陸は華夜子に声を掛ける。
「華夜はさ。もう帰らないと家(うち)の人、心配するよな?」
華夜子は小首を傾げて、陸を見た。
何故?-問うような彼女の視線を受け、陸は軽く苦笑いする。
「いや…華夜がこれぐらいの雪なら平気で。もう暫く寒さに耐えられそうなら…その、少しでいいから、ふたりでここを歩いてから帰りたいなって。勿論、ちゃんと家まで送ってくからさ」
時間は間もなく、夜の十時になろうとしていた。
いつもの陸なら、絶対に引き留めない時間帯だ。
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