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蕩けるようなキスをして
第57章 クリスマス・イヴ
もう、心は溶けていた。
もう、身体は蕩けそうだった。
彼の腕に抱かれるのは何日ぶり?
彼のキスに酔い痴れるのは何日ぶりだった-?
長い長い口付けがようやく終わり。
名残惜しそうに離された彼の唇の感触を記憶した後(のち)、華夜子はそっと、瞳を開けた。
ほんの僅か自分から離れただけの場所から、陸の唇が呟く。
「確かに言ってた。自分でもちょっと、忘れてた。迂闊だった-」
「…何を?」
彼の匂い。
彼の吐息。
彼の温もり。
彼の全てに惑わされながら、それでもなんとか、問う。
俺の女-甘い囁きが耳朶にかかり、華夜子の意識は果てまでいってしまいそうになる。
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