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蕩けるようなキスをして
第53章 留以
「あと…櫻葉君が華夜子の事泣かせたなんて思ってないよ。ちょっとからかっただけ。…でも、これは冗談でも言っちゃいけなかったね。櫻葉君、こんなに傷付いてるのに。ごめんなさい」
素直に謝ってくる留以に、陸は何度も頭(かぶり)を振る。
「いや…間違ってないよ。俺は…華夜を泣かせた。華夜を傷付けた。取り返しのつかない事をした。大学中の奴らに咎められて当然だ」
「人気者も苦労するね。痴話喧嘩すら、みんなに知れ渡っちゃうなんて」
留以のからかいに、陸は眉を寄せた。
「…ルイさんまで止めてよ。俺、別に人気者でもなんでもねーし」
「自覚ないなんて言わせないよ。大学中の女子の憧れの的のくせに?」
「見た目で、ちょっと騒がれてるだけだ」
「自分がかっこいいって自覚はある訳だ?」
再度の留以の揶揄に、僅かに陸の頬が紅潮する。
「…勘弁してよ、ルイさん。ルイさんって、そんな意地悪だったっけ?」
親友だから大学でも当然、彼女と一緒にいる事が多く。
自然陸も、留以と会話を交わすようになっていた。
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