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蕩けるようなキスをして
第53章 留以
留以のたったのひとことに、陸は釘付けになる。
「櫻葉君とそういう感じになりそうだって最初聞いた時は、正直不安だった。親友が好きなら喜んで応援してあげたいって思ったけど、あの櫻葉陸が相手だって聞いたらさ…分かるでしょ?」
意味あり気な視線を投げ掛けられ、陸はばつが悪そうに微かに笑う。
「反対はしなかったけどさ、とっても心配だった。弄ばれて終わりなんじゃないかって。でも、華夜子が日増しに本気で櫻葉君の事好きになってくの、一目瞭然だったし。櫻葉君の華夜子を見る目がもの凄く優しいのにも、すぐに気付いた。だから-」
そこで一旦区切り、留以は陸に微笑んだ。
「大事な親友、櫻葉君にならお願い出来るって思ってた」
泣きそうになる。
今朝、あんな事があった後だけに、余計に留以の優しさが身に染みた。
「…落ち込んで、後悔の嵐だったから、すげー嬉しい。ありがと、ルイさん」
唇を噛み締めた陸に、留以は苦笑いを再び、送った。
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