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蕩けるようなキスをして
第53章 留以
でも。
今、目の前にいる、このひとは。
彼女の、親友だ。
その親友に『がっかりだ』などと言われ。
陸は今日一番、胸に大きな棘が突き刺さった。
誰に言われるよりも、今日一番、堪えた。
なんて言ったら良いのか分からず俯き、先程買った缶コーヒーを弄っていると、
「あ、ごめん。本気にしちゃった?」
留以が窺うように、こちらを見てくる。
「ちゃらいとか、女遊びの件で傷付いたならごめんね。冗談半分で言っただけだよ」
申し訳なさそうに言えば、陸は苦笑し、首を振った。
「いや…全部ほんとの事だし。俺が悪いんだから、罵られて当然だ」
「まあ、白状すると、昔はそういう目で見てた。でも、今は違うのも、ちゃんと知ってるよ」
留以の言葉に、陸は疑問の目を向ける。
「今は華夜子一筋で。華夜子の事、凄く大事にしてるんだなって、いつも側で見てて思ってた」
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