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蕩けるようなキスをして
第8章 おねーさん
大学中の注目の的となっている今の自分にとって、誰もいない場所は貴重な安らぎの空間だ。
次の時間もテストだし、可能なら早く食事を済ませて、最後のあがき-でもないが、一応復習しておきたい。
-この教室、普段あんまり使われてなくて、俺はよく利用させてもらってるよ。
彼は来るだろうか。
でもいくらなんでも、今は試験期間だ。
流石の彼も、女遊びは控えてるのではないか。
もっとも、そんな常識があの彼に通じるとも思えないが…。
しかし、悩んでいる時間が勿体ない。
華夜子は意を決して、教室に足を踏み入れた。
後方の隅に腰を下ろし、息を吐(つ)く。
人の視線に疲れ、試験に疲れ-二重の疲労で、もう、ほんと、くたくただ。
とりあえず、お昼を食べよう-鞄からお弁当箱を出したところで、微かな金属音が聞こえた。
扉に目をやった華夜子は息を呑む。
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