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蕩けるようなキスをして
第8章 おねーさん
柔らかく空気を含んだ落栗色の髪は-心なしか前よりも波打っているようだった。
無地の白いTシャツに、かなりのダメージが施されたジーンズは、相変わらずその長い脚によく似合っていた。
左の耳朶を飾る、揺れるピアス。
ブラウンのコンタクトを嵌めた両眼は、大きく見開かれている。
扉の取っ手に手をかけたまま、こちらに釘付けとなっている。
一緒の誰かが後ろにいるのでは-思ったが、どうやら彼ひとりのようだった。
彼女をひとしきり見詰めた彼は、やがて我に返る。
どうすればいいのか分からなかったが、いつまでも入り口に佇んでいる訳にもいかず、とりあえずのように講義室に入り、ドアを閉めた。
背中を向けたまま、暫しの、沈黙。
華夜子もどう反応すれば良いのか考えあぐね、ただお弁当箱に手をかけ、彼の後ろ姿を眺めているしかない。
やがて、遂に意を決したように、彼は身体を回転させた。
「久し振り、おねーさん」
無地の白いTシャツに、かなりのダメージが施されたジーンズは、相変わらずその長い脚によく似合っていた。
左の耳朶を飾る、揺れるピアス。
ブラウンのコンタクトを嵌めた両眼は、大きく見開かれている。
扉の取っ手に手をかけたまま、こちらに釘付けとなっている。
一緒の誰かが後ろにいるのでは-思ったが、どうやら彼ひとりのようだった。
彼女をひとしきり見詰めた彼は、やがて我に返る。
どうすればいいのか分からなかったが、いつまでも入り口に佇んでいる訳にもいかず、とりあえずのように講義室に入り、ドアを閉めた。
背中を向けたまま、暫しの、沈黙。
華夜子もどう反応すれば良いのか考えあぐね、ただお弁当箱に手をかけ、彼の後ろ姿を眺めているしかない。
やがて、遂に意を決したように、彼は身体を回転させた。
「久し振り、おねーさん」

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