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蕩けるようなキスをして
第8章 おねーさん
前期の試験期間も半ば。
それが終われば、約二カ月もの長い夏休み。
バイトは何をするとか、旅行はどこに行くとか、ボランティアがどうとか-大学中どこへ行っても、皆の話題はテストのその先だった。
食堂の入り口に並ぶ自販機でお茶のペットボトルを購入し-そのまま食堂に行ければいいのだけれど、回れ右をして再び廊下を歩き出す。
今日は、どの教室に行こう-悩みつつ、とりあえず歩を進める。
午後一の試験が本館の教室なのもあり、なんとなく、そちらへ向かう。
やがて、一つの小さな教室の前までやって来た。
忘れもしない、彼と初めて知り合う事となった、あの-。
逡巡する。
どうしよう。
止めようか。
思ったものの、とりあえず、そっと中の様子を伺う。
誰もいなそう。
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