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蕩けるようなキスをして
第50章 吹雪
ふたりの視線が絡んだ。
痛々しい、ふたりの瞳と、瞳。
凍り付いた、彼女の顔。
深く抉られる、彼の胸。
知らない振りをしていれば良かったのかもしれない。
知らない振りはしていた。
だって傷付きたくなかったから。
だって傷付けなくなかったから。
気のせいだと思いたかった。
気のせいにしていて欲しかった。
だけど。
言われてようやく、脱いだ、コート。
けれど、手袋はそのままで。
不自然だった。
指摘しない方が、逆におかしかった。