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第50章 吹雪

そんな事をしたってどうにもならない。
寧ろ、増々堅く口を閉ざしてしまうのは、容易に想像出来る。
「…陸は何もしてない」
返事が、返ってきた。
「陸は、何も悪くない。ごめんね。嫌な思いをさせてるよね」
探るように訊いてこられ、陸はようやく、華夜子と目を合わせた。
辛そうな。
泣きそうな。
張り裂けそうな。
偽りなく、この自分に申し訳ないと訴えかけてきてる。
「ちょっと、悩んでる事があって。それで…きっと、上の空だったり、話し掛けても返事がなかったりしてたよね？ごめんね、心配させて－」
いつも見惚れてる、そのピンクの唇が、きつく閉じられる。
そんな表情（かお）をされたら。
逆にこちらが、とてつもなく哀しくなってしまう。