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蕩けるようなキスをして
第49章 予感
心までもを簡単に縛ってしまいそうな微笑みに、華夜子は囚われ、もう何も言えなくなる。
「威勢のいい女は嫌いじゃない。でも華夜にはもう少し、おしとやかになって欲しいかな」
-俺、これ以上痛い思いしたら、いつかぜってー泣く。
陸のからかいに、華夜子は更に釘付けになり、ひたすら見詰め続けるしかない。
男、泣かすなよ-耳元に寄せられた陸の唇が、温かな息を瞬間、大きく吐いた。
堪え切れずに吹き出した陸は、椅子の背もたれに身体を預け、げらげら笑い出す。
またそんな大声で-思ったけど。
華夜子は、自分も今さっき叫んでしまっていた事を思い出し、今回は注意出来ない。
何より。
去り際に。
何気なさを装い。
膝から更に上-太腿をひと撫でしていった彼の手の感触が、消えずにいたから。
熱を帯び、熱く疼き、何か文句を言うどころではなかった。
その指、たった一本で。
自分を自在に操る彼が、悔しかった。
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