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蕩けるようなキスをして
第48章 束の間の
彼女に知られずに、良かった。
知れたら、またしても『可愛い』だなんて、言われ兼ねないではないか。
「…ば、馬鹿っ。可愛いとかって、うるせーよ。どうせ褒めるなら、かっこいいとか、たまにはそんな事でも言って喜ばせてみろよ」
恥ずかしさを封じ込める為に、吐き捨てるように言うのが精いっぱいだ。
「そんな事言ってると、マジで襲うぞ。ほんとに相当我慢してんだからな」
言って陸は、照れ隠しのように、華夜子の額を指で小突いた。
「痛…!もう、何すんのよっ」
華夜子は額を押さえ抗議するが、その唇は陸によって横から荒々しく、奪われた。
再び歩みは止まり、その場に佇んだまま、ふたりだけの世界に入る。
流石にその辺は、弁(わきま)えてると思ってた。
なのになんの断りもなく、濡れた舌先が侵略を始め、華夜子の全身は震える。
大学の比じゃなく、こんな公共の場で-思うけど。
拒絶する間もなく蹂躙され、いつもの如く、結局彼の為すがまま。
深い快楽の沼に引きずり込まれ、簡単に這い出す事など出来はしない。
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