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おんな小早川秀秋
第3章 秀俊修行

「それで官兵衛、わざわざお忍びで、何をしに来たんですか?」
「ん? 養子の一件は、元々俺が言い出した事だ。見届けに来るのは当然だろう?」
「それで、あなたが自ら動いたと? なるほど、よく分かりました」
すると隆景は、拳を強く握ると深呼吸する。そして、誰が止める間もなく、その拳は官兵衛を殴り倒した。
「隆景様!?」
「秀俊、心配はいりません。悪さを働く腹黒に、すこし痛い目を見せただけですから」
悪さと隆景は言うが、如水が何の悪さを働いたのか、あきにはよく分からなかった。だが頬を押さえた如水の方も、殴られて当然とばかりの顔をして立ち上がる。
「いてて……まったく、大人しそうに見えて、相変わらず血の気が多い」
「如水様……あ、大丈夫ですか?」
如水が口の端から血を流しているのを見つけると、あきは懐紙を差し出し血を拭う。
「すまない、気が利くな」
如水があきの手を取れば、隆景は眉をひそめあきの腕を引き如水から遠ざける。そしてあきを背中に隠すと、如水に杖を差し出した。
「殴られる心当たりはあるでしょう? これで手打ちにしてあげるのですから、感謝なさい」

