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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第28章 第十一話 【螢ヶ原】 其の四

お彩は村外れにある辻堂にお参りしてきたばかりだ。何の神仏を祀ってあるかも定かではないけれど、早朝、まだ涼しい中に、辻堂と吉之助の(ものと思われる)墓に詣でることを日課としている。この辻堂こそ、幼い日に母と共に眺めた忘れ得ぬ夕景色の中の一つである。
人一人がやっと横になれそうなほどの広さを持つ辻堂の前に小さな池があり(これはお彩が記憶していたよりは、やや小さかった。子どもゆえ、実際よりは大きなものに見えたのだろう)、ほぼ十六年前に母に連れられて見たときと同じ形をとどめていた。
人一人がやっと横になれそうなほどの広さを持つ辻堂の前に小さな池があり(これはお彩が記憶していたよりは、やや小さかった。子どもゆえ、実際よりは大きなものに見えたのだろう)、ほぼ十六年前に母に連れられて見たときと同じ形をとどめていた。

