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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第22章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

次は、その隣に葬られたばかりの父に向かい話しかける。
―おとっつぁん、おっかさんと漸くまた一緒になれたのね。私は、おとっつぁんの言葉をけして忘れない。たとえ、この先に何が待ち受けていようと、今度こそ惚れた男(ひと)についてゆくことにするわ。自分の気持ちに正直に生きてゆくわ。だから、おっかさんと見守っていてね。
お彩はしばらく合掌した後、墓地を後にした。今日も墓地の片隅には白い桔梗の花が晩秋の風に揺れていた。雨は暁方には止んでいたが、葉の上には雨の滴がまだ残っていた。
お彩は名残を惜しむかのように白い花を見つめ、やがて想いを振り切るように背を向けた。
―おとっつぁん、おっかさんと漸くまた一緒になれたのね。私は、おとっつぁんの言葉をけして忘れない。たとえ、この先に何が待ち受けていようと、今度こそ惚れた男(ひと)についてゆくことにするわ。自分の気持ちに正直に生きてゆくわ。だから、おっかさんと見守っていてね。
お彩はしばらく合掌した後、墓地を後にした。今日も墓地の片隅には白い桔梗の花が晩秋の風に揺れていた。雨は暁方には止んでいたが、葉の上には雨の滴がまだ残っていた。
お彩は名残を惜しむかのように白い花を見つめ、やがて想いを振り切るように背を向けた。

