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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

が、そんな不自然な状態がかれこれ二カ月にもわたるに及び、これは放ってはおけぬと思い、お彩に直接訊ねてみたけれど、お彩は一切口をつぐんで話さなかった。
そのため、喜六郎はついに父親である伊八に知らせておこうと、甚平店まで足を運んだのだった。
あれから八カ月、伊八はそのことについて一度はお彩とじっくりと話し合う必要があると考えていた。喜六郎からお彩の様子を内々に聞かされた時、真っ先に思い浮かんだのは、娘の男関係のことだった。喜六郎が訪れる前のことになるが、伊八はお彩に単刀直入に訊ねたことがあったのだ。
―誰か良い男はいねえのか。
伊八は、いまだに娘のあのときの暗い表情が忘れられない。
そのため、喜六郎はついに父親である伊八に知らせておこうと、甚平店まで足を運んだのだった。
あれから八カ月、伊八はそのことについて一度はお彩とじっくりと話し合う必要があると考えていた。喜六郎からお彩の様子を内々に聞かされた時、真っ先に思い浮かんだのは、娘の男関係のことだった。喜六郎が訪れる前のことになるが、伊八はお彩に単刀直入に訊ねたことがあったのだ。
―誰か良い男はいねえのか。
伊八は、いまだに娘のあのときの暗い表情が忘れられない。

