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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

伊八に重ねて訊ねられ、お彩はしまいには惚れた男がいることは認めたものの、ついに男の素性まで話してはくれなかった。伊八は娘の様子から、その想い人が親に容易くは打ち明けられぬ相手だと見当をつけたのだ。
―お前の惚れた男ってのは、容易くは添えねえ相手だということなんだな。
念を押すように言った伊八に、お彩は淋しげな顔で頷いた。つまり、娘には親には言えぬ恋人がいるということだった―。
だから、喜六郎の話を聞き、伊八はお彩の不自然な行動が父親の自分にも言えぬ男の存在に拘わっているのではと察しをつけた。それはつまり、お彩がその男に逢うために度々休みを取っているということに他ならなかった。
―お前の惚れた男ってのは、容易くは添えねえ相手だということなんだな。
念を押すように言った伊八に、お彩は淋しげな顔で頷いた。つまり、娘には親には言えぬ恋人がいるということだった―。
だから、喜六郎の話を聞き、伊八はお彩の不自然な行動が父親の自分にも言えぬ男の存在に拘わっているのではと察しをつけた。それはつまり、お彩がその男に逢うために度々休みを取っているということに他ならなかった。

