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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

お彩の勤め先の一膳飯屋「花がすみ」の主人喜六郎から聞かされた話が伊八の心の底に澱のように淀んでいた。
そう、あれは、今年の三月初めのことだった。喜六郎がわざわざ伊八の許を訪れ、お彩の最近の様子が尋常ではないと打ち明けてきたのだ。
伊八は、ぼんやりと喜六郎の話を思い出した。喜六郎は、当時、お彩が外出ばかりしていると言っていた。それまであまり暇を取ったことのない真面目なお彩がちょくちょく休みを取り、しかもその時間帯が昼過ぎから夕刻までと決まっているというのだ。
最初の中、喜六郎はしばらく事態を静観していたらしい。伊八に知らせるのは、まずお彩本人に事の次第をよくよく確かめた上でにしようと思っていたのだと、これは喜六郎本人が語っていた。
そう、あれは、今年の三月初めのことだった。喜六郎がわざわざ伊八の許を訪れ、お彩の最近の様子が尋常ではないと打ち明けてきたのだ。
伊八は、ぼんやりと喜六郎の話を思い出した。喜六郎は、当時、お彩が外出ばかりしていると言っていた。それまであまり暇を取ったことのない真面目なお彩がちょくちょく休みを取り、しかもその時間帯が昼過ぎから夕刻までと決まっているというのだ。
最初の中、喜六郎はしばらく事態を静観していたらしい。伊八に知らせるのは、まずお彩本人に事の次第をよくよく確かめた上でにしようと思っていたのだと、これは喜六郎本人が語っていた。

