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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

伊八は江戸でも評判の腕を持つ飾り職人だ。自分の作った簪を定期的に問屋に納めるだけでなく、個人的な得意客も持っている。その中には大身旗本の奥方や大店の内儀といった金持ちの妻女が多く、実入りはかなりのものがある。
ゆえに、何もわざわざ古着屋まで来ることはないのだが、お彩がよくこの店を利用すると聞いていたので、覗いてみたのだった。去年の冬、お彩が伊八のためにと用意してくれた半纏はこの古着屋で求めたらしいのだが、これが着心地も良く温かで重宝した。その品質の良さは到底古着屋で買った代物とは思えないほどで、それもあって、伊八はお彩の晴れ着もここで買ってはと考えたのだ。
「さようでございますか」
「ゆめや」の女主人の美しい貌に婉然とした笑みが浮かんだ。
ゆえに、何もわざわざ古着屋まで来ることはないのだが、お彩がよくこの店を利用すると聞いていたので、覗いてみたのだった。去年の冬、お彩が伊八のためにと用意してくれた半纏はこの古着屋で求めたらしいのだが、これが着心地も良く温かで重宝した。その品質の良さは到底古着屋で買った代物とは思えないほどで、それもあって、伊八はお彩の晴れ着もここで買ってはと考えたのだ。
「さようでございますか」
「ゆめや」の女主人の美しい貌に婉然とした笑みが浮かんだ。

