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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

ふと、そんな想いがお彩の脳裡をかすめた。その想いを見透かしたかのように、おきみが薄く笑んだ。
「承平は勝蔵の子じゃありません。三年前、確かにあの男はまた、あたしを思うようにしようとしましたけど、幾ら求められても、あんたの慰みものになるなんぞ二度とご免だよって、それだけは突っぱねましたから」
寄りを戻そうと迫る勝蔵に、おきみは匕首をちらつかせてやった。
―力ずくでどうにでもというのなら、これでひと思いに喉をかき切って死んでやる。
そう言って脅かしてやったのだ。
―フン、金の切れ目が縁の切れ目ったァ、よく言ったもんだぜ。お前のような女(アマ)、どこでなりと野だれ死にするが良いや。
勝蔵は舌打ちするや、捨て台詞を吐いて、おきみから受け取った金を懐に立ち去った。
「承平は勝蔵の子じゃありません。三年前、確かにあの男はまた、あたしを思うようにしようとしましたけど、幾ら求められても、あんたの慰みものになるなんぞ二度とご免だよって、それだけは突っぱねましたから」
寄りを戻そうと迫る勝蔵に、おきみは匕首をちらつかせてやった。
―力ずくでどうにでもというのなら、これでひと思いに喉をかき切って死んでやる。
そう言って脅かしてやったのだ。
―フン、金の切れ目が縁の切れ目ったァ、よく言ったもんだぜ。お前のような女(アマ)、どこでなりと野だれ死にするが良いや。
勝蔵は舌打ちするや、捨て台詞を吐いて、おきみから受け取った金を懐に立ち去った。

