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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第13章 第五話 【夏霧】 其の弐

勝蔵という男は、おきみの幸せをとことんまでぶち壊し、台無しにしたのだ。勝蔵さえ現れなければ、おきみは喜六郎と夫婦として幸せに暮らしていたはずだった。勝蔵はおきみが折角掴みかけた幸せさえ奪ったのだ。おきみがそう言うのも致し方ないと思えた。
お彩は、おきみを痛ましげに見つめた。
昨日の夕刻、喜六郎は板場で言っていた。
―おきみと過ごした日々は夢のようだった。
図らずも二人ともが同じことを言っている。そのことに、お彩は今更ながらに気付いた。
あの承平という男の子は誰の子なのだろうか。勝蔵という、鬼のような亭主の子なのだろうか。
お彩は、おきみを痛ましげに見つめた。
昨日の夕刻、喜六郎は板場で言っていた。
―おきみと過ごした日々は夢のようだった。
図らずも二人ともが同じことを言っている。そのことに、お彩は今更ながらに気付いた。
あの承平という男の子は誰の子なのだろうか。勝蔵という、鬼のような亭主の子なのだろうか。

