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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第43章 第十六話 【睡蓮】 壱

見たところ、二人の男は主従らしく、少し先を歩く男が提灯を捧げ持ち、後ろの男の足許を照らしている。今宵、空には細い生まれたばかりの月が掛かっていたが、厚い雲に閉ざされて姿を隠してしまった。
どうやら明日は雨らしい。空は幾重もの雲に覆われ、たまに姿を見せる月は朧にその輪郭を滲ませている。ふと月が現れ、夜道をゆく男二人の姿を照らし出した。淡い月明かりに浮かびあがった男たちは、どう見ても主従といった感じだ。月光が捉えた後ろを歩く男の顔は、まさにこの世のものとも思えぬほどの美貌であった。一流の細工師が精魂込めて彫り上げた氷像のような冷たい、一度見たなら忘れもできないような妖しさを秘めた美男だ。
どうやら明日は雨らしい。空は幾重もの雲に覆われ、たまに姿を見せる月は朧にその輪郭を滲ませている。ふと月が現れ、夜道をゆく男二人の姿を照らし出した。淡い月明かりに浮かびあがった男たちは、どう見ても主従といった感じだ。月光が捉えた後ろを歩く男の顔は、まさにこの世のものとも思えぬほどの美貌であった。一流の細工師が精魂込めて彫り上げた氷像のような冷たい、一度見たなら忘れもできないような妖しさを秘めた美男だ。

