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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四

以前、やはり生意気だとおしがに水鏡をやらされた女郎がいた。
その妓が一糸まとわぬあられもない姿で盥をまたいでいる間中、見世の若い者がニヤついた顔で覗きにこようとしたという。
その妓はよほど辛かったのか、その罰を丸三日続けさせられた後、首をくくって死んだそうだ。
「酷(ひど)い話でしょ。何もぶったり叩いたりされるのだけが折檻だとは限らないってことよね。私たちはそれでなくても、一日に何人もの客を取らされて、どんなに嫌な男にだって抱かれなきゃアならない。この上、そんな辱めを受けたら、誰だって死にたくなるってもんだわ」
花里は淋しそうに言った。
その妓が一糸まとわぬあられもない姿で盥をまたいでいる間中、見世の若い者がニヤついた顔で覗きにこようとしたという。
その妓はよほど辛かったのか、その罰を丸三日続けさせられた後、首をくくって死んだそうだ。
「酷(ひど)い話でしょ。何もぶったり叩いたりされるのだけが折檻だとは限らないってことよね。私たちはそれでなくても、一日に何人もの客を取らされて、どんなに嫌な男にだって抱かれなきゃアならない。この上、そんな辱めを受けたら、誰だって死にたくなるってもんだわ」
花里は淋しそうに言った。

