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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四

花里は格別に羨ましそうな風もなく、淡々と言った。
「でも、良かったわ。〝水鏡〟だなんて、おしがさんが言い出すものだから、どうなることかと思って心配しちゃった」
お彩には、この「水鏡」というのが一体何を意味するのか判らない。さっきのおしがの言いようでは、女郎を懲らしめる罰の一つのように思えたが―。
お彩の不思議そうな顔を見て、花里が顔を赤らめながら教えてくれた。
「水鏡」とは、水を張った少し大きめの盥をまたいで立つという罰だという。これだけ聞くと、何のことはないように思えるが、素っ裸で水の張った大きな盥をまたいで立てば、水の面(おもて)に影が映るというからくりだ。これを一日、あるいは何日もの間、おしがが良いと言うまでずっと続けなければならない。
「でも、良かったわ。〝水鏡〟だなんて、おしがさんが言い出すものだから、どうなることかと思って心配しちゃった」
お彩には、この「水鏡」というのが一体何を意味するのか判らない。さっきのおしがの言いようでは、女郎を懲らしめる罰の一つのように思えたが―。
お彩の不思議そうな顔を見て、花里が顔を赤らめながら教えてくれた。
「水鏡」とは、水を張った少し大きめの盥をまたいで立つという罰だという。これだけ聞くと、何のことはないように思えるが、素っ裸で水の張った大きな盥をまたいで立てば、水の面(おもて)に影が映るというからくりだ。これを一日、あるいは何日もの間、おしがが良いと言うまでずっと続けなければならない。

