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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐

「旦那さん、しっかりして下さい! 旦那さん」
お彩は慌てて、喜六郎の傍に駆け寄った。喜六郎の顔は相変わらず蒼白く、額に大粒の汗の玉が浮いている。確かに今日は卯月とは思えぬほどの陽気だけれど、この汗のかき方は尋常ではない。暑さのせいでというより、具合の悪いのが原因だろう。
喜六郎が先刻、胸の辺りを押さえたことを思い出し、心ノ臓の発作かもしれないと考えてみた。どうやら息遣いもかなり荒いようだ。
この場は動かさない方が良いと判断したお彩は大急ぎで四ツ辻の筆屋まで走った。幸いにも、おとみは店にいたので、おとみに来て貰い、喜六郎の傍についていてくれるように頼み、自分はそのまま町医者の伊東竹庵(いとうちくあん)の住まいまで走った。
お彩は慌てて、喜六郎の傍に駆け寄った。喜六郎の顔は相変わらず蒼白く、額に大粒の汗の玉が浮いている。確かに今日は卯月とは思えぬほどの陽気だけれど、この汗のかき方は尋常ではない。暑さのせいでというより、具合の悪いのが原因だろう。
喜六郎が先刻、胸の辺りを押さえたことを思い出し、心ノ臓の発作かもしれないと考えてみた。どうやら息遣いもかなり荒いようだ。
この場は動かさない方が良いと判断したお彩は大急ぎで四ツ辻の筆屋まで走った。幸いにも、おとみは店にいたので、おとみに来て貰い、喜六郎の傍についていてくれるように頼み、自分はそのまま町医者の伊東竹庵(いとうちくあん)の住まいまで走った。

