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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐

「もう止めて。お美杷は伊勢次さんの子だし、私は伊勢次さんの分まであの子を立派に育ててゆかなければならないの。あなたには私たち母子(おやこ)のことは何の拘わりもないはずよ。これから先もずっと」
「本当にそうなのか。お前はそう言い切れるのか。あの赤ン坊が私の子ではないと、お前と子どもがこれから先も一切私とは何の拘わりもないと断言できるというのか。お前の心に今もなお、私への想いがないと?」
市兵衛が近づいてくる。獲物が追いつめられるように、次第に二人の間の距離が狭まってゆく。
すぐ手前まできた時、再び手を掴まれた。思いがけない強い力でグイと引き寄せられる。
「本当にそうなのか。お前はそう言い切れるのか。あの赤ン坊が私の子ではないと、お前と子どもがこれから先も一切私とは何の拘わりもないと断言できるというのか。お前の心に今もなお、私への想いがないと?」
市兵衛が近づいてくる。獲物が追いつめられるように、次第に二人の間の距離が狭まってゆく。
すぐ手前まできた時、再び手を掴まれた。思いがけない強い力でグイと引き寄せられる。

