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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐

お美杷は、うつ伏せになって可愛い手足をしきりにバタバタさせて、はしゃいでいる。
そのつぶらな瞳は確かに、小箪笥の上の雛人形を見ているようにも思える。
その光景は、どこから見ても、祖母と孫の微笑ましいやり取りにしか見えなかった。そして、お美杷に向けられたおきわの横顔は確かに笑っていた。おきわの白い血の気のない顔に、うっすらと赤みがさしている。心なしか、その表情が生き生きとしているように見えた。
おきわと暮らすようになってひと月余り、お彩は、おきわの笑顔をこの時初めて見たのである。
お彩は、足音を立てないように細心の注意を払いながら、そっとその場から離れた。今だけは、おきわが久方ぶりに取り戻した折角の笑顔を曇らせたくはなかった。
そのつぶらな瞳は確かに、小箪笥の上の雛人形を見ているようにも思える。
その光景は、どこから見ても、祖母と孫の微笑ましいやり取りにしか見えなかった。そして、お美杷に向けられたおきわの横顔は確かに笑っていた。おきわの白い血の気のない顔に、うっすらと赤みがさしている。心なしか、その表情が生き生きとしているように見えた。
おきわと暮らすようになってひと月余り、お彩は、おきわの笑顔をこの時初めて見たのである。
お彩は、足音を立てないように細心の注意を払いながら、そっとその場から離れた。今だけは、おきわが久方ぶりに取り戻した折角の笑顔を曇らせたくはなかった。

