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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐

お彩は、滔々と続くおさきの話に相槌を打つでもなく黙って聞きながら、その場にしゃがみこんで汚れものを洗い始めた。
「でも、私らの心配もどうやら杞憂に終わったみたいで、良かった。まァ、伊勢さんが若死にしちまったのは不幸だけど、伊勢さんはあんなに可愛い孫を残して逝ったんだ。お美杷ちゃんのあの笑顔をひとめ見れば、おきわさんも哀しみがちったア、薄れるってえいうもんだろう」
おさきの言葉は、お彩の心を深くえぐった。
おきわは今もってお美杷を孫として認めてはいないし、お彩に心を開いてはいない。伊勢次の酷い死に方を思えば、それも致し方ないことではあると思っても、改めて指摘されるのは辛いことであった。
「でも、私らの心配もどうやら杞憂に終わったみたいで、良かった。まァ、伊勢さんが若死にしちまったのは不幸だけど、伊勢さんはあんなに可愛い孫を残して逝ったんだ。お美杷ちゃんのあの笑顔をひとめ見れば、おきわさんも哀しみがちったア、薄れるってえいうもんだろう」
おさきの言葉は、お彩の心を深くえぐった。
おきわは今もってお美杷を孫として認めてはいないし、お彩に心を開いてはいない。伊勢次の酷い死に方を思えば、それも致し方ないことではあると思っても、改めて指摘されるのは辛いことであった。

