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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐

「昼間は大分温かくなったとはいっても、まだまだ朝晩は冷えるからねえ。せいぜい気をつけてあげておくれよ」
おさきは自分も口だけではなく手も動かしながら、浅黒い顔に人の好い笑みを浮かべて言った。おさきの方の洗濯物は、既にあらかた片付いているようだ。
「はい、季節の変わり目は、かえって病人には良くないって昔からいいますから、私もできるだけ心がけるようにするつもりです」
お彩は微笑んで頷いた。
おさきが、よっこらしょと威勢の良い掛け声を上げて立ち上がる。おさきは小柄なお彩と並ぶと、縦も横も倍以上は大きい。見た目はお世辞にも美人だとは言い難いが、亭主の留吉とともに親切で愛想の良い女である。おさきのその気性は、どこか、お彩の亡くなった母お絹を彷彿とさせた。
おさきは自分も口だけではなく手も動かしながら、浅黒い顔に人の好い笑みを浮かべて言った。おさきの方の洗濯物は、既にあらかた片付いているようだ。
「はい、季節の変わり目は、かえって病人には良くないって昔からいいますから、私もできるだけ心がけるようにするつもりです」
お彩は微笑んで頷いた。
おさきが、よっこらしょと威勢の良い掛け声を上げて立ち上がる。おさきは小柄なお彩と並ぶと、縦も横も倍以上は大きい。見た目はお世辞にも美人だとは言い難いが、亭主の留吉とともに親切で愛想の良い女である。おさきのその気性は、どこか、お彩の亡くなった母お絹を彷彿とさせた。

