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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第6章 禁断の恋
その寸時、スマホと一緒にポケットからスルリと抜け出したソレを、私は目にしてしまった。
えんじの、ストライプ。
それは、あの時映像に映し出された官能の権化、そのものではなかろうか……。
どうしよう……。
で、済まされれば、こんなに緊張はしない。
その後、五分ともせず車に戻ってきた八反田さんは、

「お待たせしました」

何も気が付いてない様子で私にいつも通り挨拶をした。
そうして事務所に連れて来られた私は戸惑っていた。
深夜の事務所内に、人影はない。
つまり私達は……。

「二人きり……」

「ええ!?」

「……ってのも淋しいもんですよね、って。何をそんなに驚いているんです?三人目でも見えましたか?」

くすくすと笑った八反田さんは、廊下の自販機に小銭を入れ、好きなのを押して下さいと促してくれた。
暖かいミルクティーのボタンを押して、取り出し口のそれを受け取る。

「ありがとうございます」

もう何度目かのお礼をして微笑むと、八反田さんはどういたしましてと返事をしながら自販機に視線を移した。
そして、迷わずブラックコーヒーのボタンを選んだ彼は言った。

「応接室、使用させて頂きましょう。あそこなら、ソファもあるし……寝ようと思えば寝れるでしょう」

……寝る!?
多分、というか絶対その単語に意味はない。
ないのは分かってるのに、やけに反応してしまう処女脳が自分でむかつくし笑っちゃう。
だって八反田さんに限ってそんなことあり得ない。
真面目で律儀で正義感のあるこの人が、私に手を出すなんてこと。
あり得ない。
例え今、咄嗟に持ってきてしまったこのえんじのストライプが何か言いたげに私のスカートの右ポケットで、不自然に膨らみを増していようとも。
絶対に八反田さんは、同じようにズボンの前を膨らましたりなんてしない。
絶対に、絶対に、ない……。
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