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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第29章 契約の熱

「カルロさん。少しだけ、いいですか」
「…勝手にしなよ」
彼女が遠慮がちに問うと、素っ気なく承諾する。
ミレイはドアを開けたまま車から数歩離れて、ジンの方を向いた。
「ジンさん…っ…あなたに、聞きたいことが」
駐車場の真ん中で立ったままのジンは、二人を止める気は無いようだ。
ミレイは恐る恐る…そんな彼に質問する。
「どうして今さら、わたしと一緒に暮らそうと思ったの?」
「……」
「お母さんがいなくなって何年も経ちました。わたしを探しだそうとすれば、あなたならいくらでも手段があったのに…。あなたは、そうしなかった」
「…その通りかもしれないね」
ミレイからの質問にすぐに答えられないジン。
「確かに私は、逃げたアンナの死を知った後も、君に干渉しようなどとは考えなかったさ。血のつながりこそあれど、…ほぼ他人のようなものだ」
微笑みながら軽く頷き
だがね……と
彼は話を続けた。

