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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第29章 契約の熱

「…だがね、こう歳をとると突然、思ってしまうんだよ。自分だけを構って生きるには、人間の命は長すぎる──と。誰かに何かを、残したくなる」
…年寄りのお節介。
私もすっかり老けてしまったなと
ジンは愉快そうに笑っていた。
「それだけだ」
「ジンさん…」
何か言葉を返そうとして口ごもるミレイ。
カルロは何も聞こえていないように無反応で、ただミレイに声をかけた。
「…戻れ」
「は、はい」
ミレイの口からは何も言葉が出ないまま、彼に言われて車に戻る。
近づいた彼女の腕をカルロが掴んで、無理やり車に引き込んだ。
「…ぁ…っ」
ドアはすぐに閉まってエンジンがかかる。
発車した車は出口へと躊躇なく進み
カルロはバックミラー越しに、ほんの一瞬だけ男と視線を交わした──。

